最初で最後の、恋だった。
「先輩!大丈夫ですか?」
「うん…」
眠たげな瞳が、何だか無防備で可愛らしい。
輝飛、猫に似ている気がする。
「てか、輝飛じゃ、ないんだね」
「え?」
「屋上で、俺のこと…呼んでくれたじゃん」
「あ、あれはっ…もう、無我夢中でっ」
必死に弁解すると、輝飛は笑った。
あたしの求めていた…あの笑顔だ。
「もっと呼んで、俺のこと」
「先輩…」
「先輩じゃなくて。
俺のこと、名前で呼んで」
「輝飛…」
「もう1回」
「輝飛っ」
「もう1回」
「き、輝飛っ!
輝飛輝飛輝飛輝飛ッ!!」
「アハハ、ありがと」
無邪気に笑いながら、輝飛は何故か寝転ぶ位置をズラした。