最初で最後の、恋だった。
あたしは病気になったことがないけれど。
過去を語る輝飛の瞳は今にも泣きそうで。
あたしまで泣きたくなってきた。
「それで俺、思い切って自殺しようとしたんだ。
ただ、病院の屋上は立ち入り禁止。
当時の俺の体じゃ、外に出ることなんて出来なかったんだ。
病気のせいで免疫力も低下していたからね。
小さな風邪でも、命とりだった。
でも、最期ぐらいは外に出たかった。
学校に行けたのなんて、1、2回ぐらい。
それでも途中で発作起こして早退。
良い思い出なんて外になかったけど、青空とか、見たかったから。
いつも病室の窓からしか見られない景色を、生で見たいと思ったんだ。
病院を抜け出してから、俺は何度も発作にあった。
でも、道行く人誰も、俺のこと何て気にしない。
憧れていた外の世界が、こんななんだって、絶望した。
俺は近くの建物の中に入った。
死ねる場所なら、どこでも良かったんだ」
小学3年生の男の子が、そんなに絶望していたなんて。
…信じられなかった。
あたしの両親が亡くなったのは、中2の頃。
だから、その時はまだ、幸せだった。
「屋上に行って、俺は死のうとした。
でも、運悪く発作が来て、俺はその場に倒れかかった。
…その時だよ。
望愛に出会ったのは」
…思い出した。
あたしが小学1年生の頃に出会った、男の子を。