最初で最後の、恋だった。






数日後。

輝飛は無事に退院。

また発作が起こるかもしれないけど、その時はあたしがキチンと支えるから。




「お帰りなさいませぼっちゃま、望愛様」

「ただいま」

「お世話になります」




輝飛の両親は、この家政婦さんにも、一生不自由なく暮らせるぐらいのお金を払って、家政婦をしてもらっているんだって。

ちなみに両親が輝飛に残したお金は莫大で。

あたし1人増えても、仕事をせず楽に暮らせるぐらいの額だ。

輝飛は小さすぎて、両親が何の仕事しているのかは知らなかったみたいだけど。

凄いお仕事していたのかなって思う。




輝飛が退院し、あたしたちはまず“仕事”をしに、あたしの家へ。

やるべきことを済ませ、あたしは家を引き払った。

そして、輝飛の家に荷物を持って行き、暮らすことになった。

輝飛の家は広く、あたし1人が住んでも、余裕があるぐらい。





「輝飛、あたし今、凄く幸せ」

「俺も」

「輝飛に会えて良かった」

「俺、小さい頃は自分の体、恨んでた。
何でこんなに弱いんだろうって。
でも、その体のお蔭で、俺は望愛に出会えた」

「あたし、輝飛の聖女(マリア)になれてる?」

「勿論。
望愛以外、あり得ない。
ずっとずっと、俺の隣で笑ってて」

「うん」




そしてあたしたちは、

初めて、体を重ねた。







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