最初で最後の、恋だった。
「アレ?
望愛ちゃん俺のこと知っているの?」
「あ、当たり前じゃないですかっ…。
うちの学校で、先輩を知らない人はいませんよ……」
心臓がドキドキ音を立て始める。
徐々に体温が上がって行くのが、自分でもわかる。
え?
今、先輩…望愛ちゃんって……。
何であたしの名前…?
しかも、何で先輩、住所を…!?
「そうなんだ…。
俺、そんなに有名?」
「はいっ…。
イケメンですし……」
「…そうかなぁ?」
先輩、意外にも天然?
「あの…。
何で先輩、あたしの家と名前を…?」
「ん?
今日、俺ら校内でぶつかったでしょ?
その時にコレ、落としていたから」
輝飛先輩が、ポケットから取り出したのは、あたしの生徒手帳。
「あたしのっ…。
ありがとうございます」
「これに名前と住所載っているでしょ?
勝手に開いて、見ちゃった」
「そうだったんですかっ…。
ありがとうございます。助かりました」
「いえいえ。
これからは気を付けてね。
…それじゃ、俺はここで」
輝飛先輩は、眩しい笑顔を見せ、帰って行った。