最初で最後の、恋だった。
「ん?
またお前人殺したのか?
もみ消す俺の気持ちにもなれよ」
「殺したのは俺じゃない。
…望愛だ」
「は?望愛ちゃん?」
「最近、三ノ矢姓の女1人男2人の捜索願来なかったか?」
「あ―…。
そういえば来ていたな。
三ノ矢秋絵(あきえ)・その夫仁(ひとし)・その息子臨(のぞむ)だっけな?」
「ソイツら、望愛が殺したから。
いつも通り、処理よろしくね」
踵を返し、望愛の元へ行こうとすると、止められた。
「待てよ。どういうことだよ」
「ソイツら、望愛の父方の親戚なんだ。
叔母さんと叔父さんは、俺を不細工だと罵り、息子は夜な夜な望愛を犯していたんだ。
望愛、可愛いんだよ?
俺のことけなして、俺以外の男に触れられたからって言って、ソイツら殺しちゃったの♪
息子の方なんて本当、ヒドかったよ。
だって、もう人間じゃなかったもん。
望愛、息子のお肉ステーキにして食べようとしていたんだよ?
も~めちゃくちゃ可愛くね?
俺には勿体ない彼女だよなー。
さすが、俺の聖女(マリア)」
「アハハ」と俺は笑う。
春馬の顔は、引きつっていた。
「じゃ、その捜索願、取り下げておいて?
俺に逆らえばどうなるか知ッテイルヨネ?」
「…わかった」
「じゃ、ヨロシク」
俺は今度こそ踵を返し、望愛の元へ向かった。