最初で最後の、恋だった。
俺がいた世界は灰色だったから。
俺は明るい、色づいた世界に行きたかったんだ。
でも、色づいた世界には多くの哀しみがあって。
俺は今日も、そんな世界で生きて行く。
大丈夫。
望愛とデータさえあれば、生きて行ける。
辛いことも、乗り越えていける。
「望愛お待たせ。
何もされなかった?」
望愛は振り向き、花が咲くように笑った。
「うん!
大丈夫だよ!
輝飛、早く帰ろうっ!!」
「そんなに焦らないで。…ほら」
「うんっ!」
ギュッと俺の手を握る望愛。
そう。
笑って。
いつまでも笑ってて。
俺の、
隣で――――…。
【END】