最初で最後の、恋だった。
時刻は丁度9時をまわった。
普通の高校生は起きている時間かもしれないけど、あたしはすることもないので寝ることにした。
ベッドに寝転がり、ふと枕元に置いた生徒手帳を手に取る。
「輝飛先輩…」
驚いたな。
まさか先輩と1日に2回も2人きりで話せる機会があったなんて。
奇跡としか言いようがないだろう。
「先輩…愛シテイマス」
生徒手帳にキスをする。
「もう寝よう」
明日早く出るのは、早起きになるから嫌だけど、先輩を早くから見守れると思うと、苦痛ではない。
先輩パワーは凄いと思う。
「ん?」
あたしは気が付いた。
生徒手帳から見える、小さな紙きれ。
気が付かなかったけど、まさか挟まれていたなんて。
あたしは2つ折りの紙を取り出し、開いた。
「嘘…ッ」
あたしの顔には、笑顔が広がっていた。