最初で最後の、恋だった。
第1章
★憧れの先輩
「「キャアアアアアッ!!」」
今日も、正門前は、王子様を待つ女の子たちが溢れている。
どの子も…皆…皆…可愛い…美しい……。
あたしとは…大違い……。
あたし、
三ノ矢望愛(みのや・のあ)。
家から5分ほどの共学高校に通う1年生。
あたしは、ハッキリ言って地味。
肩より下までの黒髪は、固く艶なんてない。
ある理由から切らない前髪は長く伸びきっていて、目を隠してしまっている。
まぁ目元が見えたとしても、一重で目つきは悪い方だから、美人とは言えない。
目鼻立ちは整っていないので、不細工と言って良いかもしれない。
見た目に頓着しないので、スカートは今時珍しい膝下スカート。
良く言えば校則通りだけど、悪く言えば地味子。
「輝飛先輩!」
「おはようございます!」
「相変わらずイケメンですわ!」
正門から校舎までの道を、長い足でスタスタ歩く、王子様。
大げさな例えかもしれないけど、それほど先輩はかっこいい。