最初で最後の、恋だった。
「輝飛先輩…」
「おいで」
壁に寄り掛かる先輩に近寄る。
少し警戒心はあったけど、先輩の笑顔のお蔭で、その警戒心もすぐに解けた。
先輩以外には誰もいないみたい。
「隣座って。あ、寒くない?」
「大丈夫です…失礼します」
あたしはドキドキしながら腰かける。
隣には、先輩が座っている。
「手紙、見てくれたんだ」
「はい」
昨日、生徒手帳に挟まれていた手紙。
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望愛ちゃんへ
明日昼休み
屋上で待ってます
山野輝飛
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この手紙を見た時は、本当に驚いた。
まさか先輩から、“待っています”と言われるなんて。
夢かと思っていた。
でも、夢じゃない。
―――現実だ。