最初で最後の、恋だった。
「お弁当、食べよう?」
「はい」
嬉しい。
輝飛先輩が、あたしに笑ってくれている。
あたしの隣にいてくれている。
…あたしがずっと叶わなくても、叶えば良いなと願っていた夢だ。
「うわ美味しそう。
それ、望愛ちゃんの手作り?」
「はいっ」
「へぇ…良いよなぁ器用な女子って」
マジマジ少年のように目をキラキラさせながら見つめてくる先輩。
それがあまりにも嬉しくて…
「先輩、もし良かったら食べますか?」
それほど自信もない手作りお弁当を見せていた。
「良いの!?じゃあ一口」
先輩は「どれにしようかなー?」と、綺麗な人差し指であたしの作ったおかずの数々を指さし、卵焼きを手に取った。
こんな機会を先輩にもらえなかったら、あり得なかった奇跡。
「うんっ!美味しい!!
望愛ちゃん料理上手いね!
今度さ、俺のために作ってきてくれない?」
…俺のために作ってきてくれない?
どういう意味?