最初で最後の、恋だった。
「嬉しいです先輩。
あたしのお弁当、そんなに喜んでくれて…」
例えその笑顔が偽りでも。
その言葉が嘘でも。
…少なくともあたしは救われたんだ。
「でも先輩良いんですか?
先輩、お昼はお友達と食べないんですか?
奥田先輩とか…」
生徒手帳に挟まれた、先輩からの手紙を見た時、少し警戒心を抱いたのは、ソレもある。
だって、常に誰かに囲まれ、奥田先輩と楽しげに話す先輩。
お昼もきっと、誰か仲の良い友達や、女子などと食べているのかと思っていた。
それなのに、今先輩は1人。
あたしと食べるだけに断ったのかもしれないと思ったけど、先輩はこれからも一緒に食べようと言いだしてきた。
「春馬?
望愛ちゃん、春馬知っているの?」
「よ、よく先輩といますから…」
「…ふーん。
まぁ良いけど。
春馬とは一緒に食べていないよ。
春馬は別の友達と食べてる。
俺はお昼、いつもココで1人で食べていたけど」
え?1人?
「いつも誰かといるわけじゃないよ。
俺にだって、1人きりになりたい時もあるよ」
「え?じゃあ何であたしを…」
あたしがオッケーしてしまったら、先輩の1人きりの時間が消えてしまう。
てかその前に、先輩があたしを誘ったのだ。