最初で最後の、恋だった。
「望愛ちゃんは特別。
望愛ちゃん、他の子みたいに、キャアキャア騒がないじゃん」
「え?」
どうしてあたしが騒がないことを…?
「望愛ちゃん。
いつも朝、正門前にある木の影から、俺のこと見ているよね?」
「へっ!?」
嘘…知っていたの!?
あんなストーカーみたいな感じで先輩を見ていたあたしに!?
やば…超恥ずかしい!!
「どうしたの望愛ちゃん。
顔が真っ赤だけど…」
「ば、バレていたのが…恥ずかしくて……」
「バレていないと思っていたの?
アハハ、バレバレだよ。
少なくとも、俺は望愛ちゃんに気が付いていたよ」
先輩…。
あなたは、あたしを喜ばせる天才ですね。
「遠くからいつも俺のこと見ていて。
俺、凄く嬉しかったんだよ?
逆に、ああやって毎朝キャアキャア騒がれてさ…。
正直俺、アレに嫌気差していたんだよね……」
先輩の、意外な本音を聞いた。
先輩は女子の視線や声に、いつも笑顔で答えていたから。
それにまさか嫌気が差していたなんて。
人気者だからこそ、嫌なこともあるのかもしれない。