最初で最後の、恋だった。








「…ああ、もう正直に言うね」

「え?」

「俺、望愛ちゃんが好きなんだ」





…え?

先輩が…あたしを…好き!?





「せんぱっ…」

「望愛ちゃん。
俺ら昨日ぶつかったよね?」

「は、はい…」

「実は昨日、見ちゃったんだ。
望愛ちゃんが…1人で教室掃除している所」



見られていたの…?



「その時、気が付いた。
あのいつも静かに見守っている女の子だって。
名前ぐらいは知れたら良いなって思っていたら、望愛ちゃんとぶつかって…。
本当にあの時は驚いたよ……」



先輩、あたしに話しかけようとしていて…!?

正直信じられないけど…。




先輩の目は本気で。

嘘だなんて…思えなかった。





「そこで生徒手帳を望愛ちゃんが落として、名前と住所を知った。
本当は今日教室に行って渡そうと思った。
でも、あんな密かに俺を見守り、教室掃除を1人でしているから、望愛ちゃんに友達がいないんだなって思って…」



先輩、恐るべき洞察力。






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