最初で最後の、恋だった。
山野輝飛(やまの・きと)先輩。
同じ学校に通う3年生で、通称王子様。
風に靡く、サラサラのチョコレート色の髪。
神様が綺麗に作り上げすぎた、整った顔立ち。
180もある身長。
そして何より、優しい笑顔。
アイドルよりもかっこいい顔立ちをしている彼は、とてもモテる。
性格も優しいし、誰もが平等。
そして。
―――あたしの憧れている人。
あ、勘違いしないでね?
彼女になりたいとは思うけど、叶うはずがないとは自覚しているから。
先輩なんて…本当、雲の上の存在だよ。
今だって…。
こうやって、木の影から眺めているだけだもの…。
本当は小説や漫画みたいに、先輩を奪うようなアレコレをしたいけど、先輩を怖がらせてしまうから…。
先輩に嫌われるのは、嫌だ。
なら今みたいに、存在を知られぬまま、こうして見守るだけで良い。
先輩…
愛シテイマス……。