最初で最後の、恋だった。







お兄ちゃんともう1人、あたしのスマホに登録されている人物。

…輝飛先輩……。



あたしのスマホには、輝飛先輩とのやり取りが多く残されている。

誰にも見られないよう、10桁の暗証番号を登録してあるので、誰にも見られることはない。

あたしと先輩との、些細なやり取り。

他の人にはどうでも良いことでも、あたしにとっては宝物。

誰にも…邪魔サレタクナイ……。





『ピロリロリン♪』

「!」



先輩!?



この何じゃそれと思うような音楽は、先輩が決めたもの。

着信音をマナーモードにしていたら、先輩が決めてくれた。

好きじゃない音楽だけど、愛しい先輩が決めてくれたもの。

今ではもう…大好き。

暇さえあれば、この音楽をひたすら流している。

お兄ちゃんに「うるせぇ!」って扉を蹴られたことがあるけど、そんなこと気にしない。

先輩の好きな音…邪魔シナイデ。




―――――――――――

 山野輝飛


明日、どこか行かない?
デートってことで(・∀・)


――――――――――





先輩と…デート!?

可愛らしい顔文字付きの、お茶目なメール。

…断らないわけがなかった。




あたしは『喜んで(*'▽')』と返信した。






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