最初で最後の、恋だった。
次の日。
あたしは待ち合わせ場所に立っていた。
可愛い3段フリルの黒いミニスカート。
上は清潔感漂う白いブラウス。
どちらも有名ブランドの洋服だ。
え?
何でブランドものの洋服を着ているかだって?
そんなの当たり前でしょう。
大好きな先輩とのお出掛けだよ?
可愛くもないセンスもない洋服で出掛けたくないよ。
お金?
それは勿論、お兄ちゃんの稼いだお金。
お兄ちゃん、勉強は出来るけど馬鹿だから。
お金をあたしに見えない所に隠していても、バレバレ。
お兄ちゃんがバイト中、こっそり部屋に侵入して、お金を取った。
顔と外面だけは良い人気ホストだから、お金は何百万も貯まっていた。
いくら残っているかなんて確かめない人だから、いくらか抜いても気が付かれない。
全部は取らず、バレない程度に取り、あたしは部屋を出てブランドのお店へ。
洋服とか詳しくないから、お金だけ店員さんに渡して、あたしに似合う服を選んでもらった。
黒いタイツを穿いているから、殴られ蹴られた傷が見えることはない。
肩までの黒髪も、お兄ちゃんのパソコンを勝手に使い、ヘアアレンジ方法を調べ、ゆるく結んでみた。
先輩…気に入ってくれるかな……?