最初で最後の、恋だった。
「アレ?望愛ちゃん?」
「先輩!」
「く、来るの早いね…」
驚いている先輩。
…かっこいい。
耳にイヤホンをしている先輩は、一段とかっこいい。
イヤホンを外した先輩は、ニコッと笑う。
「行こうか」
「はい。…どこへ?」
「はは。着いて来ればわかるよ」
手を繋ぎ、あたしは先輩を追う。
「望愛ちゃん来るの早いね。
まだ待ち合わせ時間まで15分もあるのに」
「早く行きたくて。
そう言う先輩も、早いじゃないですか」
「まぁ俺も同じ理由。
望愛ちゃん、待ち合わせ時間には正確そうじゃん?
早く来たら、その分遊べるかなって」
「あたしも同じ気持ちです」
楽しみな先輩との初デート。
でも正直不安な気持ちもあった。
先輩はモテる。
対してあたしは地味。
もし学校の誰かに会ったら、先輩ファンから何かされるかも。
まぁ何かされても、
あたしは先輩を嫌いになんて、ナラナイヨ……。