最初で最後の、恋だった。
着いたのは、王道の遊園地。
「うわぁ…凄い人混みですね先輩」
「でしょ?
人を隠すには、ピッタリな場所でしょ?」
「はい!」
「どれから乗る?」
「そうですね―…」
あたしたちは、コーヒーカップから始まり、ゴーカート、メリーゴーランドなど沢山乗った。
ジェットコースターは見ただけで乗るのをやめた。
あたしが「絶叫系は苦手なんです…」と言うと、先輩も照れながら「俺も」と言っていた。
良かった、先輩と趣味があって。
…まぁ当たり前か。
え?何が当たり前だって?
だってあたし、絶叫系本当は乗れるもの。
得意ではないけどね。
でも前に先輩と付き合う前、先輩が奥田先輩と話しているのを聞いた。
2人が話していたのは、ここの遊園地の話。
「行ってジェットコースターに乗りたい」と言う奥田先輩に、
「俺絶叫系は苦手だなぁ」と先輩が笑っているのを見かけたことがあるのだ。
あたし、得意じゃなくて良かった。
得意なら、先輩に余計な気を使わせてしまうもの。
得意じゃないのは苦手なのとイコールさせてしまおう。
あたしは彼氏に我が儘なんて言わないから。
常に自分が無理しないよう先輩に合わせるの。
あたしって、最高の彼女でしょ?
最高の彼氏には、
最高の彼女がお似合いダモノネ…。