最初で最後の、恋だった。
夕方になり、乗るものもなくなり、あたしたちは遊園地を出た。
「望愛ちゃん。疲れない?」
「あ…少しだけ」
でもたまに我が儘も言う。
可愛い彼女でしょ?あたしって。
てかあたしじゃなくて、先輩が疲れている気がする。
笑顔も、無理矢理作っている気がするし。
見ているこっちが休まないか聞きたくなるほど。
先輩、意外にも体力ないんだ…。
「じゃあ、近くに良いお店この間見つけたんだ。
望愛ちゃんの家からも近いし、寄って行かない?」
「はいっ」
先輩のおススメのお店。
どんなに汚い場所でも、お伽噺に出てきそうなほど綺麗に見えるはずだ。
着いたのは、小さなカフェ。
外見は…良く言えばレトロ、悪く言えばボロ。
学校から近いけど、派手な子が多い学校の女子たちが寄ろうと思うとは思えない。
先輩と2人きりの穴場になりそうだ。
「いらっしゃいませー」
あたしたちを出迎えたのは、温厚そうなおじいさん。
優しそうで、毎日のように通えば、覚えてくれそうだ。