最初で最後の、恋だった。
第3章

★奥田先輩









☆☆☆




ある日のお昼休み。

あたしは鞄を持ち、誰にもバレないよう教室を出て、屋上へ向かった。




ちなみに雨の日は、一緒にお弁当を食べれない。

屋上には屋根がないから。

雨の日ほど恨む日はない。

でもその代わり、その夜は電話をする。

普段はお兄ちゃんのせいもありメールだけだけど、雨の日だけは電話をする。



ちなみに輝飛先輩には、お兄ちゃんとのことを何も言っていない。

先輩もあの日以来、おでこの瘡蓋には触れないし、足などにある痣にも気が付いていないみたいだから。

ただ電話代などは全てお兄ちゃんが払うから、あんまりメールや電話は出来ないとは伝えている。

その話の流れから、両親が事故で亡くなっていることも伝えてある。




「お兄さん思いだね」って先輩は笑っていたけど。

実際はそんな可愛い話じゃない。

お兄ちゃんに殴られ蹴られたくないから…。

仕方なく従っているだけ。

兄と妹という関係じゃない。

王様とその家来と言う関係の方が、合っている気がする。

確かにその通りだと思うし、あたしも王であるお兄ちゃんには逆らわないから。




先輩にバレなければ良い。

先輩にバレたら…あたし……。







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