最初で最後の、恋だった。
いつも通り、屋上への扉を開ける。
心地いい風が吹いている。
「それでさ…。…アレ?」
いつもの場所へ行くと、今日は2人いた。
輝飛先輩と…奥田先輩…?
「見かけない子だけど…。
何何?もしかして、輝飛の彼女?」
奥田先輩が笑みを浮かべる。
輝飛先輩には負けるけど、かっこいい。
てか、奥田先輩…こんな人なんだ。
あたしは前まで、奥田先輩を“爽やかな人”だと思っていた。
事実、輝飛先輩は“スマイル王子”、奥田先輩が“爽やか王子”と言われている。
そんな奥田先輩だけど…。
今は輝飛先輩の肩に手を置き、「なぁ彼女?」としつこく問い詰めている。
意外にも爽やかじゃないらしい。
「絶対教えない。
春馬口軽いじゃん」
「俺ほど口固い奴いないけど?」
「嘘くさい」
「俺を信じろって輝飛」
この2人…絵になるなぁ。
まぁかっこいいのは、断然輝飛先輩だけど。