最初で最後の、恋だった。
「名前は?」
いつの間にか輝飛先輩の隣にいた奥田先輩が、あたしの隣に来ていた。
「…三ノ矢望愛…です……」
「望愛ちゃんかー。
可愛い名前だねー。
俺は知っていると思うけど、奥田春馬。
輝飛の親友だよー」
可愛い名前って…。
奥田先輩、結構軽い人みたいだ。
「春馬。
望愛ちゃんに気軽に話しかけるな」
「何だ輝飛。ヤキモチか?」
「うるせ。
用は済んだだろ。
早く帰れよ、馬鹿春馬」
「ひでーなー。
まぁ良いや、腹も減ったし戻るわ。
じゃーなー望愛ちゃん」
ひらひら手を振りながら、奥田先輩は帰る。
「悪かったね望愛ちゃん。
でもアイツ、軽そうに見えて口は堅いから。
望愛ちゃんと俺のことも、誰にも言わないはず。
…安心して?」
手招きをしながら輝飛先輩が言う。
先輩が言うなら…信頼出来る。
「でもね望愛ちゃん。
あんまりアイツと親しくしないで?」
先輩が一瞬、
ニヤリ…と怪しく微笑んだ。