最初で最後の、恋だった。
★冷たい夜
☆☆☆
それは突然やってきた。
「ただいま」
今日はお兄ちゃんは遅くなる日。
大学の友達と、夜ご飯を食べるみたい。
中にはお兄ちゃんが片思いをする人も来るらしい。
昨日の夜、隣の部屋で大学の友達と電話するお兄ちゃんの声が弾んでいたから。
まったく…うるさいったらありゃしない。
「…え?」
しかし玄関には、お兄ちゃんの靴と、見知らぬ女物の靴が置かれていた。
あたしはドキドキしながらリビングへ向かう。
明日も平日、学校がある日。
先輩にお弁当を作らないといけない日。
おかずの本は、リビングにある。
お兄ちゃんに触れられるわけには…イカナイ。
ガチャ…
静かに扉を開けた。
そして、衝撃の光景を見た。