最初で最後の、恋だった。







「妹さん…望愛ちゃんよね?
噂通りの、ストレス発散道具ね」



噂通り…?



「望愛ちゃん。
アナタは琉威をどう思っていたのかしら?
アタシが当ててあげるわ。

そうねぇ…。
外では自分を可愛がる、外面の良い兄かしら?
だからこそ、今驚いているんでしょう?

確かにそうよ。
琉威は外では、妹思いの優しい兄よ。
琉威の周りの人間は、皆言うわ。

でも、そんな嘘、すぐ見破れたわ。
琉威が本当は妹相手にどんな態度を取っているか。

確かめに来たのよ。
そうしたら、琉威はアッサリ猫の皮を取ったわ。
望愛ちゃんのこと、ストレス発散道具って言うのよ。

その上、アタシも望愛ちゃんを殴って良いって。
優しいお兄ちゃんを持ったわね、望愛ちゃん。

琉威の言う通り、
アタシも望愛ちゃんを殴らせてもらうわ」




…どうして?

どうしてあなたまで…あたしを……?



お兄ちゃんにストレス発散道具だと言われたから?

言われたからって…あたしを殴るの?



何で…何で……?

可笑しいよ…そんなの……。




誰か助けて…。




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