最初で最後の、恋だった。






スマホは、お城の中にある、鞄の中。

あたしは…1人ぼっち……。



輝飛先輩に連絡を取りたくても…家は知らないし、スマホは家の中。

しかも突然訪問しても、さすがの輝飛先輩でも困るだろう…。



どうしよう…。

あたしは…輝飛先輩以外…味方がいないのに……。



あたしは仕方なく、歩き出す。

アスファルトは固く、ますます足を痛める。




歩くのにも…限界が来た。

どこかで休もう…。

でも、どこで休もう…?



お店に入るにも、この辺りは住宅街だからお店なんてないし、裸足のお客様を受け入れてなんてくれないだろう。

その上店員さんが警察に伝えてしまうと、お兄ちゃんからの暴力がひどくなる。

それだけは…阻止したい。



運が良いことに、夜のため誰も人が通らない。

好奇や驚きの目で見られる心配はなさそうだ。

制服姿で、あたしはあてもなく歩いた。



休もう…。

どこか見つけて、休もう…。

もう足は…限界だ……。

このままじゃ…倒れてしまう…。

病院へ行ったら、確実に警察へ連絡が行き、お兄ちゃんからの…。




考えただけで身震いがした。







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