最初で最後の、恋だった。






見つけたのは、小さな公園。

助かったと思いながら、公園へ向かう。

ベンチを見つけ、崩れるように座る。



それと同時に、

雨が降って来た。

次第に雨は強さを増し、黒髪をドンドン濡らしていく。



…このままあたし、死ぬのかな?

どうせ死ぬなら…輝飛先輩の腕に抱かれて…死にたいよ…。



あたしはひたすら泣いた。

もう雨か涙かわからないぐらい、泣いた。

泣いて泣いて…泣きまくった。





…何時間ぐらい経っただろうか?

もう涙は枯れたようで、出なくなった頃。




―――雨が、止んだ。

否、止んではいない。

誰かがあたしに、傘を差し出したんだ。




「…!?」

「望愛ちゃん」




見上げると、先輩が立っていた。

傘をあたしの方に傾けたまま、優しく微笑んでいる。






< 54 / 157 >

この作品をシェア

pagetop