最初で最後の、恋だった。
「ありがとうございます…先輩…」
あたしのヒーローは、先輩が良い。
先輩以外は…嫌だ。
あたしは先輩の肩にすり寄った。
「望愛ちゃん…可愛い」
「え!?」
「俺…本当幸せだわ……」
「先輩…。
あたしも…幸せです……」
暫く歩き、1軒の家の前で、先輩は止まる。
そこは、かなり大きな…豪邸の名に相応しい家だった。
「望愛ちゃん。
悪いんだけど、そこの黒いボタンに押す?」
「は、はい」
驚きながらも、あたしは黒いボタンを押す。
次の瞬間、ゴゴゴゴ―――ッと音を立てながら、豪奢(ごうしゃ)な門が開いた。
あたしは、目を見開き、疑うばかりだ。
もしかして…ココが先輩の家!?
先輩…王子様だとは思っていたけど、本物の王子様だとは!
先輩はスタスタ門の中に入る。
入った時、門が閉まっていく。
閉まるときはセンサーみたいだ。