最初で最後の、恋だった。
放課後。
「三ノ矢さん」
「な、何ですか?」
高校1年生になって2ヶ月。
あたしにまだ友達は出来なくて、クラスメイトにはまだ敬語。
まぁこんな派手で、その上先輩が大好きな子と同じクラスだから。
仲良くなんて…出来ない。
したくない。
「放課後、掃除お願いできる?」
「え?ま…またですか…?」
「そうよ。
あたしたちカラオケ行くから」
先輩好きな子たちは、チャラチャラした格好をして、教室を出て行った。
まただ。
また…掃除を押し付けられてしまった。
断りたくても…断ったら何されるか…。
しかも…家に帰る理由がない。
帰りたくない…。
仕方なく、掃除ロッカーから、箒を手に取る。
掃除ロッカーは廊下にあるので、教室へ入ると。
…クスクスと、笑い声がした。