最初で最後の、恋だった。
「望愛ちゃん」
あたしをお姫様抱っこした先輩。
「先輩っ…」
「暴れないで。落ちちゃう」
「…ッ」
先輩はあたしを抱きかかえたまま、螺旋階段を上がって行く。
「…」
「望愛ちゃん」
「ひゃいっ」
緊張して、変な声が出てしまった。
…恥ずかしい……。
「俺変なことはしないから。
何度も言うけど、望愛ちゃんが傷つくことはしない。
俺がするのは、望愛ちゃんが喜ぶことだけ」
先輩の言葉は、不思議だ。
信じても良いかなと思える。
「どこ…行くんですか?」
「俺の部屋」
螺旋階段を上がり切ると、そこには1つだけ扉があった。
「何もないけど、入って」
先輩の部屋は、シンプルだった。
ベッド・本棚・勉強机以外、何もない…。