最初で最後の、恋だった。
★優しい灯
その日の夜は、オバサンメイドが作ったと言う夕ご飯を食べた。
美味しかったけど…味が薄かった。
「飴食べる?」
「あっ、良いです。
あたし、飴苦手で…」
基本好き嫌いなく食べるあたしだけど。
飴だけはどうしても駄目だった。
「そうなんだ」
先輩は飴玉を口の中に放った。
…その姿さえ綺麗で。
見とれてしまった。
「…どうしたの?」
「何でもないです…」
「そういえばさ」と、先輩が切り出した。
「足の痣…どうしたの?」
「………」
「もしかして…お兄さんにやられた?」
「………」
「………」
先輩は黙って、あたしの手を握った。
まるで…壊れ物を、壊さないように……。
優しく…。