最初で最後の、恋だった。
―――ふっと、目が覚めた。
今、何時だろう?
眠気眼のまま辺りを見渡し、ハッとする。
そうだ。
あたし、先輩の部屋に…。
先輩?
部屋を見渡すと。
勉強机のある所の電気が、点いていた。
その灯の下には、先輩がいた。
真剣そうな表情のまま、何かを書いている。
「…望愛ちゃん?」
「先輩…」
「ごめん、眩しかったよね」
「いえ、大丈夫です。
…何しているんですか?」
「ん?
あぁ…勉強」
え?
「俺、あの学校に特待生で入ったんだ。
特待生だから、普段の授業から良い点数取らないと、色々言われちゃうんだ」
初めて知った先輩のこと。
学年トップの成績保持者とは聞いていたけど、まさかそんな理由があったなんて。