最初で最後の、恋だった。







「俺のために、泣いてくれているの?」

「…だって…寂しいじゃないですか…」

「…優しいね、望愛ちゃん」



ニコリと先輩は笑う。




「ありがと。
俺のこと思って泣いてくれて。
俺…本当幸せ」

「先輩…」




ギュッと先輩は、あたしを抱きしめた。

そしてそのまま、またベッドに押し倒す。



「おやすみ望愛ちゃん。
もう遅いから…」

「はい」

「あ。
その前にお風呂か。
沸かしてくるから、待ってて」

「はい」



先輩は部屋を出て行った。

1つ飴玉を口に含んで。

先輩、飴好きなんだなぁ。




「うわ…凄い」



先輩の勉強机に置かれていた、ノートと教科書。

そこには呪文のように、黒一色で、様々な教科のことが書かれていた。

先輩が努力していることがわかる。




あたしも、

勉強頑張ろう…。






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