最初で最後の、恋だった。






「答えられないってことは…付き合っているのね?」

「………」

「…お前たち」



山野雅が言うと、金魚のフンが一斉にあたしを囲んだ。

そして、あたしを皆して殴り始めた。

お兄ちゃんよりは痛くないけど…。

お兄ちゃんに殴られたところに、また殴るものだから、痛みが復活したみたい。

痛さに耐えきれずしゃがみ込む。




「本当のこと言いなさい?
言わないと、ますます殴るわよ?」



…嘘に、聞こえない。

山野雅たちは…本気であたしを殴るつもりだ。




「やりなさい」

「はい、雅様」



金魚のフンが、再びあたしを殴りだす。

倒れこんでしまったので、殴ることを止め、ひたすら蹴り始めた。

昨日先輩に拭いてもらった足が、土で汚くなる。



てか雅様って…。

山野雅の家、普通の一般家庭のはず。

何で様付?

…もしかして、山野雅が、先輩のファンクラブの会長だから?

先輩の写真とか、さっきみたいに隠し撮りしているとか?



そんなの…

完璧に先輩のストーカーじゃない。






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