最初で最後の、恋だった。
「先輩…駄目です……。
血で…汚れちゃいます……」
「血?
…ぅわ!何で出血しているの!?」
「あたしは…大丈夫ですから……」
「大丈夫なわけないだろ!」
先輩はポケットの中からハンカチを取り出した。
対してあたしは持っていない。
先輩の方が女子力高いだなんて…。
先輩は、そのハンカチを、あたしの出血した部分に巻き付けた。
「ハンカチに…血が…ついてしまいます」
「望愛ちゃんの血なら大丈夫」
巻き付けたハンカチを、先輩は優しく当ててくれた。
「望愛ちゃん、誰にヤられたの?」
「…山野雅と金魚のフン軍団……」
「山野雅と金魚のフン軍団?
…あぁ、アイツらか」
「知っているんですか…?」
「山野雅は、俺のファンクラブの会長。
俺に関わった女子に“罰だ”とか言って、望愛ちゃんみたいに傷つけてる。
先生たちにバレて、何度も停学をくらっている、問題児たちだ。
まさか望愛ちゃんにも影響が及ぶなんて。
てか、アイツらどこで望愛ちゃんのことを?」
あたしは写真のことを話した。
「チッ…。
まるで山野雅はストーカーだな。
まぁでも、写真は初めてじゃない。
その写真を、山野雅は高値で売っているんだ。
それをよく買う連中が、ファンクラブで幹部と呼ばれる奴らだ。
その連中は、山野雅をかなり慕っている。
多分、ソイツらが金魚のフン軍団だろうな」
あたしのつけたあだ名に、先輩は笑っていた。