最初で最後の、恋だった。








「先輩…駄目です……。
血で…汚れちゃいます……」

「血?
…ぅわ!何で出血しているの!?」

「あたしは…大丈夫ですから……」

「大丈夫なわけないだろ!」



先輩はポケットの中からハンカチを取り出した。

対してあたしは持っていない。

先輩の方が女子力高いだなんて…。




先輩は、そのハンカチを、あたしの出血した部分に巻き付けた。



「ハンカチに…血が…ついてしまいます」

「望愛ちゃんの血なら大丈夫」



巻き付けたハンカチを、先輩は優しく当ててくれた。



「望愛ちゃん、誰にヤられたの?」

「…山野雅と金魚のフン軍団……」

「山野雅と金魚のフン軍団?
…あぁ、アイツらか」

「知っているんですか…?」

「山野雅は、俺のファンクラブの会長。
俺に関わった女子に“罰だ”とか言って、望愛ちゃんみたいに傷つけてる。
先生たちにバレて、何度も停学をくらっている、問題児たちだ。

まさか望愛ちゃんにも影響が及ぶなんて。
てか、アイツらどこで望愛ちゃんのことを?」



あたしは写真のことを話した。




「チッ…。
まるで山野雅はストーカーだな。
まぁでも、写真は初めてじゃない。

その写真を、山野雅は高値で売っているんだ。
それをよく買う連中が、ファンクラブで幹部と呼ばれる奴らだ。
その連中は、山野雅をかなり慕っている。

多分、ソイツらが金魚のフン軍団だろうな」




あたしのつけたあだ名に、先輩は笑っていた。







< 76 / 157 >

この作品をシェア

pagetop