最初で最後の、恋だった。







あたしは、箒や塵取りを掃除ロッカーへしまい、鞄から埃を取り、肩に掛けた。

…家に帰っても、誰もいないし、やることもない。

だからといって、暇を潰せる場所などない。




…帰ろう。

どうせ帰らなくちゃいけないし…。




ガラッと閉まった扉を開け、正門へ向かうため、左へ曲がった時だ。





ドンッ

誰かにぶつかってしまった。




「…あ、ごめんなさいっ」



あたしは急いで謝った。

制服から見て、あたしより背の高い、男子生徒だとわかった。

でも、ぶつかってしまった人は、何も言ってこない。



「…?」



あたしは顔を上げた。




「……!?」




ぶつかった人を見て、あたしは声なき声をあげた。






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