最初で最後の、恋だった。







ある日のこと。

あたしが1人、教室にいると。




「三ノ矢望愛ちゃん、いますか?」



奥田春馬先輩が、あたしのクラスを訪れた。

驚いたまま、あたしは立ち上がる。

奥田先輩には、すでに多くの女子が集まっていた。




「奥田先輩、何で幽霊になんて関わるんですかァ」

「あの子に関わると殺されちゃいますよォ」

「は?
…んなの、アンタらに関係ないじゃん」



いつも爽やかに女子たちに対応する奥田先輩からは考えられない雰囲気だった。

女子たちは奥田先輩の変わりように驚き、後ずさっていた。

あたしはそのうちに、奥田先輩に近寄る。



「望愛ちゃん、おいで」



グイッと強く手を引かれ、あたしは奥田先輩に連れられた。







着いたのは、昼間でも太陽の光が届かない裏庭。

草が生い茂っている。




「望愛ちゃん。
単刀直入に聞くけどさ」

「は、はい…」






< 80 / 157 >

この作品をシェア

pagetop