最初で最後の、恋だった。
「てかお前、何でいるんだよ」
「ん?…居ちゃ駄目なの?」
「悪くはねぇけどよ。
何で俺らがここにいること、わかったわけ?」
「教室に行ったら、春馬いなくてね。
春馬は?って聞いたら、1年生のクラスに行ったって。
春馬の知り合いの1年生って言ったら、望愛ちゃんしかいなくない?
春馬は部活に入っていないんだからさ……」
凄い…。
そこまでお見通しなんだ。
先輩、勉強だけじゃないんだ…。
「それで探したら、ココにいたの。
…2人で、何していたの?」
スゥ…と先輩から笑みが消える。
いつもキラキラした笑顔を絶やさない先輩。
無表情は…初めて見たかもしれない。
先輩の無表情は…怖い……。
睨んでいるわけじゃない。
ただ静かに…氷のような冷たさを…浮かべているだけ。
「…俺も心配でさ」
「何を?」
「ほら、最近相次いで自殺しているだろ?
その人たちって、望愛ちゃんに関わっている人だろ?
望愛ちゃんにも被害が及んでねーかなって、心配になって。
俺にとっても望愛ちゃんは、可愛い後輩ちゃんだから」
奥田先輩…。
よくもそんな嘘をペラペラと……。