最初で最後の、恋だった。
「…大丈夫だよ。
望愛ちゃんに、被害は及ばない」
先輩は笑みを取り戻す。
ただあの冷たさは…ある気がする。
「何で断言できるんだよ」
「何で?
俺が望愛ちゃんを守っているからだよ。
俺がいる限り、望愛ちゃんには手出しさせない」
「へぇ…。
まるで、犯人と知り合いみたいな口ぶりだな」
輝飛先輩を挑発する奥田先輩。
「知り合いじゃないよ。
てかそもそも知り合いって何?
死んだ人たちって、自殺でしょ?
犯人なんて存在しないよ?」
「お前じゃないのか、輝飛」
「奥田先輩!?」
何を言い出すんだこの人は。
何でそう挑発し続けるの?
「は?
春馬、寝言は寝て言えよ。
何で俺が殺すんだよ」
「理由は簡単だ。
望愛ちゃんを傷つけたからだ。
お前は望愛ちゃんを守るからな」
「………」
再び輝飛先輩の笑顔が消える。
2人は、真っ向から睨み合っていた。