最初で最後の、恋だった。
「せ、先輩方止めてください!」
あたしが仲介に入った。
「奥田先輩、輝飛先輩がそんなことするはずないじゃないですか。
先輩を…あたしの彼氏を疑わないでください」
「望愛ちゃん…」
「輝飛先輩、そんな顔しないでください。
いつもの笑顔、見せてくださいよ」
「………」
輝飛先輩が微笑む。
…いつもの笑顔だ。
「…望愛ちゃんの言う通りだな。
ごめんな輝飛。
何で俺、お前を疑うような真似したんだろうな?」
「…いや、別に良いよ。
俺多分、春馬にヤキモチ焼いたんだな。
望愛ちゃんと…2人でいるから……」
照れたようにはにかむ輝飛先輩。
可愛い…。
「あー仲良いなお2人さん。
邪魔して悪かったな輝飛」
「じゃーなー!」と奥田先輩は去っていく。
「良かったです。
仲の良いお2人の喧嘩なんて見たくない」
そこまで言うと。
―――その先が言えなくなってしまった。
唇が、
塞がれてしまったから……。