最初で最後の、恋だった。
「先輩…」
「ゴメンネ望愛ちゃん」
ギュッと、いつもよりあたしのことを強く抱きしめる先輩。
「せんぱ…苦しいです……」
「ごめん。このままでいさせて…」
先輩の悲痛な声に、あたしは頷いた。
何故か先輩の、あたしを抱きしめる腕は、静かに震えていた。
「…可笑しい。
アイツ、絶対何か隠している気がする。
望愛ちゃん…大丈夫かな?
アイツ、今は平気だと思うけど。
暴走とかしたら…誰にも止められねぇぞ?
俺、アイツのこと、何も知らないや。
アイツ、俺に対して何も言わねぇもん。
調べてみるか…?
あ、でも出てくるかな?」
あたしたちが幸せな気分に浸る中、
奥田先輩がそんなことを言っていることなど、知らなかった。
「じゃあまたあとで、先輩」
「うん。待っているね」
「…望愛ちゃん。
俺が望愛ちゃんを守るからね?
あの日からずっと、
俺が望愛ちゃんを守るって決めたんだ。
誰にも…
邪魔はサセナイヨ……」