最初で最後の、恋だった。
「出て行けよ」
「そうね。その案が良いわ」
ガシッとまた乱暴に髪の毛を引っ張られ、あたしは玄関から外に放られる。
また靴を履けていない。
「帰ってくんじゃねぇよ不良娘」
「望愛ちゃんって汚いのね。ゴミみたいだわ」
バタンッと閉められる扉。
抵抗なんてしても無駄。
抵抗の先には死しか待っていないから。
死んだら、
先輩に会エナイモノ……。
あたしは夜の街を徘徊する。
公園は自殺騒ぎで進入禁止。
行くところがない。
気が付くと、先輩の家の前にいた。
相変わらず大きな家だ。
ただ、外からでもわかるほど静かな家。
ご両親、帰って来ていないのかな…?
「…おや、あなたは」
声をかけられ振り向くと、この間見たオバサンメイドが立っていた。