最初で最後の、恋だった。







「ただいま帰りましたぼっちゃま」

「遅かったね…って、望愛ちゃん?」



螺旋階段を下りてきた先輩。

相変わらず素敵…。



「どうして…」

「家の前におりましたので」

「そうか…。
ありがと、助かった」



家政婦さんは頭を下げ、奥へ入っていく。



「望愛ちゃん…どうしたの?
また…お兄さんに何かされたの?」

「せんぱ…」

「俺の家来たってことは、俺に何か話したいんじゃないの?
俺を…頼って来てくれたんでしょ?」



あたしは、先輩に抱きついた。

そして、そのまま泣いた。






あたしはもう、

先輩なしじゃ…

生きて行ケナイ……。






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