最初で最後の、恋だった。







「望愛?」



叔母さんの声がして、笑うのを止める。

あたしは目薬を取り出し、目にたらした。



「望愛、どうしたんだい?」

「…ウッ…ごめんなさい叔母さん…。
お兄ちゃんが亡くなって…ショックで……」

「そうなのか?
今笑い声を聞いた気がするんだけど」

「笑うはず…ないじゃないですか……。
ごめんなさい…1人にさせてもらっても良いですか?」

「ああ…構わないよ」



目薬で作った涙を見た叔母さんは、部屋を出て行った。





あー叔母さん、単純。

でも危なかったなー。

笑い声聞こえていたなんて。

あれでも十分、抑えたつもりなんだけど…。




お兄ちゃん、死んだんだー。

良かった。

これで殴られないで済むね。

お兄ちゃんがいなくなれば、きっとあの悪女も出て行くはず。

荷物まとめて、さっさと出て行けって言うの。




あたしに必要なのは、先輩だけ。

先輩ダケナノ……。







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