最初で最後の、恋だった。







そうだ。

先輩とデートの日だ。

あたしは先輩に会うため、家を出る。




「望愛、どこへ行くんだい」

「あーデートです」

「兄が死んだというのにデートかい!?」



あ、やべ。

さっきまで“兄を亡くした可哀想な少女”だったのに。

そんな少女が出て行くはずない。

でも、先輩に会いたいからなー。




「デートじゃないです。
寂しいので、彼氏の家に行きます」



うるさく言う叔母さんを無視し、あたしは先輩の家に向かった。






「先輩っ」

「いらっしゃい望愛ちゃん。入って」




相変わらず静かな家に、あたしは入る。

そしてもう覚えた先輩の部屋に入る。



「何か飲み物でも持ってくるよ。
待ってて」

「はい」




やっぱり、ホッとする。

大好き…先輩ノコト……。







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