どうしてもママ、子供のまま。
「おれは、高校をやめる。おれ、働くから、働いて、家庭支える」
『うん…私も、高校やめるよ。体が安静な間は、バイトする』
「うん、それよりいいのか?今の社会は最低高卒だぞ?」
『うん、いいの。この子のためだから』
家に着いた私たちは、テレビの向かいに並んでいる白い2人掛けのソファーに腰掛けながら話した。
少し…肌寒い。
「んでさ……朱美」
『ん?』
急に、佑が真剣な口つきで話し始めた。
私は、目の前のテーブルに並んでいたアップルティーの入ったティーカップを、両手で添えるように持って、口に運んだ。
あったかい液体が、喉を伝って胃まで入る。
このあったかさ…あなた、…まだ名もないあなたにも伝わってる?
美味しいね。あったかいね。
「おれたち、結婚しよう」
『…ん、あ、え?』
結婚?
妊娠から、結婚から。
なにからなにやらといろいろ出てきてよく頭がまわらない。
結婚って……チャペルでみんなの前でチューして指輪交換…みたいなやつ?だよね?
『けっ…こん…?』
「すきだよ、朱美」
結婚!!!!!???????
けっ…!????結婚!?
『え!?それ本気で言ってるの!?結婚?え?この年齢で?』
「嫌か?」
『嫌とか、全然!そんなんじゃなくて、むしろ嬉しいんだけどさ…お金はどうするの?友達呼ぶの?え?どうす…』
「おれが全部なんとかする」
私の困惑を埋めたのは佑の微笑みだった。
佑は、安心しろとでも言うかの微笑みを見せてくれた。
………すき…
二ヶ月後。
私、一人でちゃんとDNA検査、いくから。
あなたとの子だって、信じたい。
二ヶ月後を待つように、二人でうずくまって眠りについた。