恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
恋はしょうがない。3
告白
「……好きです」
生徒たちが帰ってしまった、ひっそりとした夕暮れ時の教室――。
その告白を耳にした瞬間、古庄の全てが固まった。
1年の間に何度も女子生徒たちからもらう想いの言葉だが、今日のそれは女子生徒が発しているものでも、古庄に投げかけられているものでもない。
夕陽が赤く照らし出した教室の窓辺には、真琴が驚いた顔をして振り向いている。
そして、その目をしっかりと捉えて、明快な口調で告白をしたのは……、真琴が担任をするクラスの副担任、高原だった。
「……え?何?…夕陽が好きなの?」
どう見ても、自分に告白されている状況なのに真琴がそう思ったのは、教室の窓から見える夕陽があまりにも美しかったからだ。
殺風景な学校の中に、時として生まれるこの夢のような空間。
そのロマンチックな空間でほんの少しの間だけ、週末婚の寂しさを埋めるべく、二人きりの甘い時間を過ごしたいと目論んでいた古庄は、放課後はいつも教室へ赴く真琴を追って来て、今まさに教室へ入ろうとしていたところだった。
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