恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
クリスマス Ⅰ
「古庄先生のクリスマスのご予定は?今年は指輪を贈った婚約者と、甘〜い夜を過ごすんでしょうね?」
クリスマスも間近に迫ったある日。
職員室の片隅でコピーを取っていた古庄に、同じくコピーを取りに来た谷口がヒソヒソと声をかけてきた。
谷口にとっては、この話題も古庄と共有できる貴重な“秘密”だ。
指輪の件以来、谷口から疑いの目で見られていることには、古庄だって気付いている。きっとまた、探りを入れようとしているに違いない。
古庄は一瞬眉をしかめたが、コピーを取る手は休めず、無感情の微笑みを装って谷口に視線を向けた。
「さあ?まだ何も考えてないよ…っていうか、クリスマスなんか関係なく、いつも甘〜く過ごしてるけどね」
「……は?!」
古庄が切り返した途端、谷口は赤面して言葉につまる。
けれども、谷口だって、これくらいで恥ずかしがって、やり込められるような女ではない。
「ヘェ〜、それはそれはアツアツなのね。ごちそうさま。それで?その愛しの婚約者に贈った指輪だけど。どんな指輪にしたの?」