恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
「今まで出会った他の人に、こんな気持ちを感じたことはありません。僕には賀川先生しかいません」
高原の言葉を聞きながら、真琴は大きな胸の鼓動を伴う動揺の中で考えた。
どう言えば、彼の想いには応えられないと解ってもらえるのかを…。
「……私にプロポーズしてくれた人も、高原先生と同じように言ってくれたわ…」
「違います!その人より、僕の方が絶対に…!僕よりも賀川先生を深く想ってる人間なんていません」
それまでずっと気持ちを押し殺して我慢をしていた高原は、腕を解いてくれるどころか、感情の緒を切らしてその想いを爆発させた。
「うん…。そうかもしれない。私をそんな風に想ってくれることは、感謝してる。……でも…」
その後に続く言葉がとっさに出てこなくて、真琴は言いよどんだ。
そして、その“事実”を告げることしか思い浮かばず、覚悟を決めて大きく息を呑みこむ。
「……私のお腹の中には赤ちゃんがいるの…」
自分の腕の中から発せられたこの告白を聞いて、高原は声にならない驚きを表すように、動かなくなった。