恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜




真琴はいたたまれなくなって、両手で顔を覆った。滲みだしてきた涙で、手のひらが濡れる。


妊娠している決定的な事実を告げたことは、どれほど高原に衝撃を与え、その心を踏みにじったのだろう…。

けれども、「婚約者」がいるのに諦めきれなかった高原には、ああでも言わなければ、またずるずると想いを引きずらせることになる。今度こそ、高原は想いを断ち切れたに違いない。



「…助けてくれて、ありがとう……」


真琴は顔を覆っていた両手を自分のお腹にあて、そこに向かって囁きかけた。

真琴の中で息づく古庄の一部は、古庄が傍にいないときでも、こうやって真琴を助けてくれた…。


そして、もうこのことは隠しておけなくなる。
結婚しているということは明るみになるが、赤ちゃんの父親が古庄だとは明かせず、今よりもいっそう息苦しい“秘密”に縛られることになる。


真琴は両手でお腹を包み込んだまま目を閉じ、深い呼吸を繰り返す。
それから、覚悟を決めたようにまぶたを開くと、職員室へと戻った。







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