恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



「…だから、今晩は先生と一緒にいたい…!先生の家に行っちゃダメ…?」


佳音の言葉の意味を考えて、古庄は無言のまま足を止めた。
そして、振り返り、佳音を見つめる。



「……なにを言ってるんだ?」


古庄に真顔で見つめられて、佳音は落ち着かなげに唇を湿らせる。


「今日はクリスマスイブで、特別だから…」


「特別な日なんだから、森園の大切な人といるべきだろう?」


「私の大切な人って、誰?…お母さんは、どうせ今日も帰りは遅いし…」


この前、一緒にファミレスに行ったこともあってか、要求がエスカレートしている…と、古庄は苦虫を噛んだ。



「…そうか、それは寂しいな…。でも、俺の家に来ても何もないし、つまらないと思うぞ」


「つまらなくなんかない!…私は先生と一緒にいたいだけだから」


古庄が要求を聞き入れてくれないので、佳音は懇願した。


でも、今日ばかりは、古庄の方も佳音のペースにはまって流されるわけにはいかないし、これ以上佳音を増長させられない。



「寂しいのは解るけど…俺だけの力じゃお前の寂しさは埋められないよ」



「そんなことない!逆だよ。先生しか、私の心は埋められない。だって私は……、先生のことが好きだから!」




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